日本の“絹織物”に焦点を当てたドキュメンタリー映画、『森を織る。』

“織物”になるまでの工程を追っていくと、森や里山の恵み、生命の連携、八百万神へと繋がる、「日本の文化」そのものでした。
デザイナーは布が作られる工程を知らない。
「絹を通して伝わるもの」を、ひとつひとつ紐解いていくと、壮大な歴史が見えてきます。
映画の後のトークイベントも含めて、心が震えたことが二つ。
影森養蚕所・久米悠平さんへの、奥さま茉莉さんからの言葉。「2000年のバトン」。

養蚕は、弥生時代(B.C.5世紀〜A.D.3世紀)に伝来し、『魏志倭人伝』には、卑弥呼が倭の国王に絹織物を送ったと記されています。
養蚕を続けるということは、2000年前からの“仕事”と“文化”を、未来に伝えていくという、大きな使命なのかもしれない…。

その気概を自覚しひたむきに、蚕に向き合う久米さんの姿は、見るものに感動を与えます。繭という生命への「供養を伴う絹文化」は、ここから始まるのだなぁ…、と。
小鹿野町で“街歩き”をした時に知った、「小鹿野で養蚕をし、横瀬で染めて、高篠で織り、大宮(秩父)で売る。」
小鹿野は軟水で、糸繰りの際の水に適していて、横瀬は硬水で、染めに適している。
そうか、恵みの源は“水”なのか…。

   						           		 