“災害弱者”は、障がい者・高齢者・外国人に加え、乳幼児のいるご家族や生活困窮者など、災害時において、更に困難な対応を迫られる、“社会的弱者”でもあります。
2016年4月に起きた「熊本地震」の際に、指定避難所ではなかった「熊本学園大学」では、社会福祉学部の教授が中心となり、「インクルーシブな避難所運営」を実践されました。


インクルーシブとは、英語で「包括的な」「すべてを含む」という意味で、多様な背景や特性を持つ人々を分け隔てなく受け入れ、共に社会を形成していくという考え方です。
大学の一部が被災しているにも関わらず、750人もの人々を受け入れ、内60名が障がい者とそのご家族で、1か月半の間、24時間の支援体制を構築されました。
すぐ近くに指定避難所の小中学校があるのに、熊本学園大学に避難されるということが、どういうことなのか。
被災者を全く受け入れない大学もあった中で、丁寧に被災者に寄り添い、行政の支援より更に細やかな支援がなされたと、高く評価された避難所となりました。
被災者だけではなく、支援者も精神的負担が大きく、初めての避難所運営には、計り知れないご苦労があったことでしょう。
再建された建物にはスロープが設置され、車椅子やベビーカーが手押しで上がってこられる配慮や、廊下も通常の倍の広さで、避難所の一部として活用できるだけでなく、様々な視点から“避難”を捉えて、その経験と教訓を将来への課題として提起されています。

ご対応いただいた黒木教授からは「9年前の熊本地震を経験している教職員も、少なくなってしまい…、」とのことですが、貴重な資料をまとめ上げられ、私達もいただくことができました。

